2012.02.20 【FX Morning Report】流動性相場は継続か時間切れか

<円安継続の鍵を握る流動性相場>
先週の為替市場を見ると、主要通貨のなかで下落率が最も大きかった通貨が日本円だった。経常黒字の大幅な減少といった直近の経済指標に加え、日銀が追加の金融緩和に踏み切ったことから、ドル円でドル買い・円売り圧力が強まったことがその一因となった。
しかし、ドル円の上昇のみで先週の円安を片づけることはできない。クロス円全体でもそれぞれ節目の水準を突破し円安トレンドが強まっていることを考えるなら、やはり市場全体でリスクオンの流れが強まったと考えるべきだろう。実際、13~17日の主要20カ国・地域の株式市場のうち18市場が上昇したことからもわかるように、投資家のリスク選好姿勢が鮮明になっている。欧州債務危機という爆弾を抱えながら、ここまで市場でリスクオンが強まった背景には、世界の金融緩和マネーがリスク資産に流れていることが、最大の要因であることは言うまでもない。

今週の円相場も引き続き、各国の金融緩和により引き起こされている流動性相場の継続が鍵を握るだろう。2月29日には欧州中央銀行(ECB)による3年物長期資金供給オペの実施を控えていることを考えると、世界的に株式市場が下支えされ、なおかつ3月の大量償還を乗り切ることができるとの期待が市場で先行する可能性がある。また、中国人民銀行(中央銀行)は18日、預金準備率(市中銀行から強制的に預かる資金の比率)を24日から0.5%引き下げると発表した。日米欧に加え、中国でも金融緩和のスタンスを強めてきたことで流動性相場が一層加速し、円相場はさらに円安トレンドを強める要因となり得るだろう。
ドル円は、80.00の心理的ラインをトライするかが注目される。テクニカルではボリンジャーバンドの上限(σ2.5)が80.00レベルに位置しており、79.70-80.20レベルにオファーが並んでいるオーダー状況も考えれば、80.00ラインの攻防が最大の焦点となりそうだ。一方、下値は200日移動平均線が、サポートラインとしてドル円を下支えするかが引き続き注目される。

<欧州は構造改革に向け前進できるか>
ただ、株式市場では過熱感が強まっている点が気がかりだ。NY株式は連日高値を更新し、高値警戒感が徐々に強まっている。東証1部の騰落レシオ(25日平均)を見ても約130%と引き続き高値圏にあることに加え、先週の上海総合指数は0.22%、台湾加権指数は0.41%の上昇にとどまるなど上値の重さが感じられる。
また、世界的な金融緩和が引き起こす副作用も懸念材料として浮上する可能性があるだろう。商品インフレという副作用だ。そのなかでも注目は原油価格の動向か。流動性相場に加えてイラン・イスラエルの緊張状態を背景にした中東(ホルムズ海峡封鎖)の地政学的リスクが意識され、高騰しやすい環境にあるからだ。商品(原油)価格でインフレが顕著になってくれば、株式市場は流動性相場から業績相場へと軸足を移す前にコスト増が意識され、反落する可能性が高まるだろう。そして株式市場が崩れれば、リスク回避による円買い圧力が再び強まるシナリオが浮上してくる。

また、流動性供給策は「時間を買う」(白川日銀総裁)政策であることを忘れてはいけない。
本日のユーロ圏財務相会合を皮切りにEU財務相理事会(21日)、ECB理事会(23日)、G20財務相・中央銀行総裁会議(25日~26日、メキシコ)そして3月1日にはEU首脳会議が開催される。主な議題はギリシャ支援と欧州債務危機の解決になるだろうが、これらの主要会議を重ねてもなお、債務危機を根本から解決する構造改革案の合意がなされなければ、今回の流動性相場が早くも時間切れを迎える可能性が高まる。なぜなら、現在は市場の焦点から外れている金融安全網の信頼性は各国の格下げにより確実に低下しており、また財政統合に向けたユーロ共同債の導入も依然として進んでないのが現状だからだ。実際にこれだけリスクオンの流れが強まっているにも関わらず、米債利回りは依然として低水準で推移しており、また独国債への買い圧力も衰えていないことは、投資家が欧州債務危機に対し警戒感を抱き続けている証左と言えるだろう。流動性相場が継続するか時間切れとなるか、本日より勝負の2週間が始まると考える。


ドル円 出典: Bloomberg
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ユーロドル 出典:Bloomberg
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2012.02.17 【 FX Morning Report 】来週のEU財務相会合を意識しリスクオンとオフが入り混じる状況は続く

<ドル円を左右する米金利とクロス円>
為替市場は、相変わらずギリシャ関連のヘッドラインに右往左往する状況が続いている。昨日は、ギリシャ債務圧縮に向け欧州中央銀行(ECB)が保有する額面500億ユーロのギリシャ債を新発債に交換する方向で調整し、ECBの債務交換は20日までに完了される(独ウェルト紙)、ユーロ圏が救済融資の金利を引き下げる案の検討、といったポジティブヘッドラインが投資家のリスク選好姿勢を強めた。ユーロドルは一時1.30割れの局面が見られたものの、その後は買い戻し圧力が強まり1.3120まで反発。円相場もリスクオンによる円売りトレンドが強まりユーロ円は103円後半、豪ドル円は昨年8月上旬以来となる84.90レベルまで上昇する展開へ。
また昨日、リスクオンが強まった背景には好調な米経済指標が続いたことも見逃せない。新規失業保険週間申請件数(季節調整済み)は2008年3月以来およそ4年ぶりの水準まで低下し、2月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数も新規受注などの上昇により前回値、市場予想共に上回った。ギリシャに対する第2次支援や債務減免を巡る交渉が進むとの観測と好調な米経済指標により、NY株式市場は2008年5月以来、ほぼ3年9カ月ぶりの高値で終えている。

リスクオンの展開となれば、為替市場ではドルと円への売り圧力が強まりやすいのはこれまで指摘してきた通りだ。昨日も上述の通り海外市場に入ってからドル&円売りが強まった。
ドル円はクロス円で円安トレンドが強まった影響を受け、一時は78.90レベルまで上昇する展開へ。相関性の高い米2年債利回りはリスクオンの影響から0.29%台へと上昇した影響も、ドル円の上昇要因として挙げられるだろう。同国2年債利回りが0.30%台へと近づいたことで、11年8月上旬以来となる水準(0.1821%)まで日米の利回り格差が拡大してきたからだ。
このように昨日のドル円の値動きから、やはり米金利とクロス円の動向がドル円に大きな影響を与えられていることが確認できた。よって、本日もクロス円、特にユーロ円での買い戻しや豪ドル円で上値トライ(85.00ライン突破)となるか、そして米2年債利回りが0.30%へ向け上昇し続けるか、この2点がドル円の動向を見極めるうえで重要なファクターとなってくるだろう。
上値は引き続き79.00をレジスタンスライン、79.53(11年10月31日 High)を重要なレジスタンスポイントと想定したい。オーダー状況を見ると、79.10レベル以上からはオファーが並んでいるとの観測がある。一方、下値は78円台維持が焦点だが、その前にビッドエリアの78.50レベルで底堅い展開となるか注目したい。

<くすぶる火種>
来週20日のユーロ圏財務相会合に向け、ギリシャに対する第2次支援承認への期待感が再び強まっている。しかし、支援の鍵を握る北部欧州とギリシャとの軋轢は埋まるどころか、さらに深まっているのが現状だ。批判の急先鋒となっているドイツに加え、オランダのデヤーヘル財務相も16日、4月に予定されるギリシャ総選挙の後まで第2次支援策を先送りする可能性があるとの認識を示すなど、いつリスク回避の爆弾がさく裂してもおかしくない火種がくすぶっていると言えるだろう。
仮に第2次支援策が承認されても、債務減免交渉という火種が残っている。どれだけの民間債権者が債務減免案に応じるか、この点が焦点になってくるが、参加率が低くければ以前指摘した集団行動条項(Collective Action Clause=CAC)を行使する可能性が高まるだろう。しかし、実際にCAC条項を適用すると、ECBが保有するギリシャ国債も元本削減の対象となるうえ、ギリシャと同じように追加の支援が必要になってくるとの懸念が根強いポルトガルなど他の周辺国国債についても同様の措置がとられるのでは、という伝染リスクが懸念材料として浮上してくる可能性も出てくる。

これらくすぶり続ける火種に加え、週明け早々には重要なイベントを控えているとなれば、本日もリスクオンの流れが強まるとは限らない。ユーロドルでは引き続き89日移動平均線をレジスタンスラインと想定しつつ、常に1.30割れを警戒する必要があるだろう。なお、本日は1.3180レベル以上ではオファーが観測されており、89日移動平均線をトライすることなく15日と同じように1.3200のライン付近で上値が抑えられる可能性がある。

ドル円 出典: Bloomberg
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2012.02.16 【FX Report】リスクオフの状況強まる ドル円の上昇は長く続かない可能性あり

<伝染リスクがいつ意識されるか>
昨日の海外市場は概してリスクオフによるドル買い、円買いマーケットとなった。ここにきてギリシャ救済パッケージの実施が、4月の選挙以降に延期される可能性が浮上してきたためだ。ギリシャ問題がここまでこじれる背景には、同国に対する北部欧州、特にドイツの不信感と不満が頂点に達していることが挙げられる。ギリシャを底なし沼に例えたカンペーター独副財務相や第2次支援合意の遅れをギリシャの新民主主義党にあると発言したショイブレ独財務相がギリシャ批判の急先鋒となっている。一方、ギリシャも黙ってはいない。国内では追加の緊縮政策に対してだけでなく、ドイツ国旗を燃やすなど反ドイツ感情が高まっている。これら世論を意識してか、パプリアス大統領は15日の演説で、ショイブレ独財務相による最近の発言を強く非難するなど、政治、経済の領域を越えお互いの国民感情がむき出しになってきたギリシャ問題の今後は、ポルトガル、スペインそして域内3位の経済規模を持つイタリアにまで本格的に波及するかが焦点となりそうだ。
実際、昨日の欧州債券市場の動向を見ると、安全資産のドイツ国債に対する旺盛な需要からユーロドルを逆相関の関係にある独伊10年債スプレッドは拡大傾向へと転じている。独スペインの10年債利回り格差も1月下旬の水準まで上昇。格下げの憂き目にあってもその後の堅調な入札結果により利回りが低下していたフランス10年債利回りも約2週間ぶりの水準まで上昇するなど、ギリシャ問題が水面下で再び域内に浸透しつつあることがうかがえる。
にわかにダウンサイドリスクが高まってきたユーロ相場は、対ドルで1.30台を維持するかが焦点となりそうだ。チャート上では、2月1日、6日にユーロを下支えした1.3025レベルでの攻防が重要なサポートポイントとなりそうだ。

<ドル円の上昇は短命か>
ドル円は日銀による予想外の金融緩和強化を受け、78円台を維持する状況が続いている。昨日は昨年11月1日以来となる78.60円台まで上昇した。
しかし、クロス円では円買い圧力が強まりつつあることから、この影響を受けドル円の上値も抑えられる状況となっている。これらの値動きからうかがえることは、円相場の主役は引き続きクロス円ということだろう。米金利もギリシャ問題を背景に低下圧力が強まっている状況のなか、クロス円まで再び円買い圧力が強まりつつあること、2月は円高になりやすいという季節要因も考えるなら、79円台到達もしくは79.53(昨年10月31日安値)突破は難しいと考える。
また、今回のドル買い/円売りを仕掛けているのは短期筋だが、こういったプレーヤーはポジションを長期間保有することは稀だ。買ったドルをすぐに売り戻し、売ったドルをすぐに買い戻す必要があるからだ。つまり超短期スパンではドル円の上昇や下落をしても中長期的にみればニュートラルであり、日本のデフレや米国の金融政策を考えるなら、今回のドル買い/円売りは長くは続かないと考える。
それでもドル円は上値を試すという意見がある。確かに世界的な金融緩和の流れに乗り、今後円キャリートレードがクロス円、特に対高金利通貨で強まる可能性は高く、この動きに連動し上記のレジスタンスポイントを突破する可能性は否定できない。しかし、この場合はリスクオンによる対主要国通貨でのドル売りが同時に発生する可能性が高いことも忘れてはいけない。事実、1月中旬以降、投資家のリスク選好姿勢が強まった為替市場ではドル売りトレンドだった。クロス円の上昇を受け、ドル円も円安方向には振れたが、その上昇幅は限られたものであることを考えるなら、仮に過剰流動性による円安トレンドが強まっても、対ユーロや高金利通貨でのドル売り圧力が相殺するかたちで、ドル円の上値は抑えれるのではないか。

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2012.02.15 【FX Report】ドル円は78円維持が焦点 懸念材料は引き続きギリシャ問題

<ドル円は78円台を維持できるか>
昨日、日銀は金融政策決定会合で資産買い入れ基金を10兆円増額する追加緩和を決定した。これを受け、ドル円は重要なテクニカルポイント200日移動平均線をブレイクする展開へ。プロップ、HF(レバレッジファンド)そしてCTAモデル系といった投資家による対円での仕掛け的なドル買いにより、78.20レベルに観測されたストップをトリガーし、78円ミドルレベルまでドル高が進行した。
確かに昨日の日銀の決定は予想外だった。しかし、昨日も指摘したように米金利上昇を伴わないドル買いが長く続く可能性は低いと考える。その米金利動向だが、長引くギリシャ債務問題やネガティブな米経済指標の結果を受け安全資産の需要が増したことから、昨日の利回りは低下。ドル円相場と相関性の高い米2年債利回りは、引き続き0.30%以下の水準で推移している。さらにTEDスプレッドは1月以降縮小傾向にあり、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)ドル3 カ月物も昨日、0.50%を割り込む状況となっていることを考えるなら、年末に意識された流動性懸念も後退している(ドル不足懸念が解消してきている)と言える。つまり、現在はドルを買い進める環境にはないということだ。
また、本日は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が発表される。先月公表された内容がハト派スタンスだったことから、昨日に続き、本日発表される米経済指標が予想外に下振れする内容となった場合、再び米連邦準備理事会(FRB)による追加の金融緩和に対する思惑が市場で台頭してもおかしくはない。そのような状況が強まっても、上述した200日移動平均線がサポートラインとして意識されるならば、短期的には78円台を維持したまま、78円ミドルから後半にかけて観測されるオファーとの攻防が散見されるだろう。

<欧州債務懸念>
また、ドル円の最大の支援要因と考えられるクロス円の動向も引き続き重要だろう。本日午前の動向を見ると、ユーロ円は103円台を維持し、豪ドル円は84.00のラインを引き続きトライするムードが感じられる。流動性を意識した状況が続けば、金利面で有利なオセアニア通貨を中心にクロス円の底堅い展開が続くだろう。
しかし、ユーロ圏財務相は本日予定していた会合をコンセンサス不足(ギリシャ与党党首から政治的誓約書が届いていないこと、同国と欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)の間で多くの技術的作業など)を理由に電話協議に切り替え、定例会合は20日に延期することを決定した。
再びギリシャに対する第2次支援が流動的となってきたことで、ギリシャのデフォルト懸念を意識したリスク回避が強まる可能性が出ている点には注意すべきだろう。またここ数日、格下げラッシュが続いたことから金融安全網に対する信用力問題がいつ市場で話題に上ってもおかしくない状況となっている。格下げの影響を受け、欧州金融機関の資金調達問題や貸し渋りによる景気後退など、欧州発のリスク回避要因も常にくすぶっており、クロス円で下落基調が強まった時、ドル円でもダウインサイドリスクを警戒するする必要が出てくるだろう。

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2012.02.14 【FX Report】ギリシャ後のテーマに注目

<リスクオンに乗り切れない理由は>
ギリシャ議会は日本時間13日午前、財政緊縮策や構造改革に関する法案を可決した。これにより、15日に開催されるEU首脳会合で第2次支援の最終決定をする見込みとなった。これを受けユーロ相場は素直に買いで反応したがその流れは長く続かず、本日のアジア午前は対ドルで1.31ミドル、対円で102.00のラインを割り込む局面が見られるなど、再び投資家のリスク回避姿勢が強まっている。
リスクオンに乗り切れない背景を探ると、2つの懸念が浮かび上がる。一つはギリシャ問題がまだ尾を引く可能性があるという懸念だ。ギリシャの債務負担軽減への民間部門の関与(PSI)、追加削減策の策定そして4月の総選挙後の緊縮財政の継続保証など、越えるべきハードルはまだ残されているが、その中でも市場の目先の焦点はPSIだろう。参加者が予想外に少ない場合、集団行動条項(CAC)を適用することになるが、欧州中央銀行(ECB)自身が保有する国債が適用除外となれば、不公平な扱いを理由にその他の債券保有者から提訴されかねない(ECB保有のギリシャ国債を欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に買値で売却する案が報道されているが)。また、国債を保有するすべての金融機関にCAC条項を適用した場合、ポルトガル(次のターゲットになる可能性が高い)など他の周辺国国債についても同様の措置がとられるのでは、という伝染リスクも今後市場のメインテーマとして浮上する可能性がある。
2つ目は、再び格下げリスクが欧州を覆い始めている懸念だ。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、イタリアやスペインなど欧州6カ国の長期債務格付けを引き下げ、フランスとオーストリアについても見通しを「ネガティブ(弱含み)」に変更したと発表した。また同日、格付け会社フィッチ・レーティングスもスペインの大手4銀行の格付けを引き下げたと発表した。金融機関の格下げに関しては先週末、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、イタリアの34の金融機関を一斉に格下げしている。このように国家や金融機関を問わず、ここ数日の格下げラッシュにより、再び金融安全網の信用力低下と貸し渋りを通して景気が悪化する懸念が浮上する兆しが出てきた。

<リスク回避ではやはりドル&円買い>
これら2つの懸念材料が再び意識され始めた可能性が高い市場は、リスク回避からドル&円買い圧力が強まっている。もともとドル円では、米国の超低金利政策のコミットメント強化とそれに伴う米金利低下圧力により中長期的にはドル売り圧力が強まりやすい状況となっている。このため、円安を演出するだけの影響力はない。実際、リスク選好が強まった1月中旬以降の米2年債利回りは0.28%台で上昇したものの、安全資産への根強い需要から0.30%すら越えられない状況が続いている。米金利上昇が伴わない限り、ドル円相場基本的にドル売りトレンドと考えた方が良いだろう。
また需要の面でも、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)ドル3 カ月物がECBの資金供給の影響もあり0.50%割れ目前まで低下していることからドル不足が着実に後退している影響も大きいだろう。
ドル円で上昇が期待できない以上、今後も円安トレンドが継続するかどうかはクロス円の動向次第ということになるが、ギリシャ後のテーマに流動性相場が浮上してくれば、株式や商品市場の底堅い展開を意識し、高金利通貨の豪ドル円を中心に円安基調を再び強める可能性が出てくる。しかし、ここ数日の格下げラッシュによりギリシャ後、欧州債務懸念の伝染リスクがテーマとして浮上してきた可能性もあり、まずは15日のEU財務相会合の行方を見極めるまではドル&円買いトレンドが徐々に強まる可能性があると考える。

なお、市場では本日の白川総裁の定例会見に注目が集まっている。国内からの緩和圧力が強まるなか、追加緩和に含みを持たせた発言が出れば、直近の経済指標を合わせ投機筋が円売りを仕掛けてくる可能性があるだろう。しかし、77円後半から相変わらずオファー優勢となっており、テクニカル面でも200日移動平均線が78.03レベルまで低下していることを考えるなら、78円台到達はさらなるドル円上昇のシグナルではなく、ドル売りを仕掛ける絶好の機会と市場で捉えられる可能性があるだろう。


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